スポーツ鍼灸をやっていれば、当たり前ですがスポーツ選手が治療に来られます。
ときには現場まで付いていくことになるときもあります。
スポーツの現場に付くと、ときどき痺れるほどのプレッシャーに遭遇します。
少し前の話になるのですが、あるボクサーの試合当日のこと...。
試合の数日前に初めて圭鍼灸院を訪ねて来てくれました。
患部の様子を見て、
「なんでもっと早くに来てくれなかった?」
と言いたくなったのを堪えつつ、
これまでの経過を尋ねてみました。
もう何軒もいろんなところへ治療を足を運び、
迫ってくる試合日。なかなか引かない痛みに、かなり焦っていたようです。
それで、紹介を受けてやっと、とのことでした。
僕の存在は、まだまだ知られていないんやね...。
さてさて、その日の治療では、確実に痛みかたに変化が表れ、継続治療をすることに。
「完全に痛みが取れるまでは、ちょっと時間かかるけど、試合はいつ?」
「来週です。」
「えっ?」
マジかよ...。
とにかく続けて来てもらい、本人もやっと「いける」という感触が出てきました。
そして念のためにと、試合会場まで付いていくことにしました。
スポーツにもいろいろありますが、ボクシングのような個人競技、しかも格闘技は、
治療者にとってはプレッシャーが大きいものです。
まず、控え・補欠となる選手がいない。
「治療する間、誰か代わりに」というわけにいかないんです。
それは即「負け」を意味する。
ましてプロともなると準備にかけてきた数ヶ月だけでなく、ランキングなども含めると、
数年分が一瞬で「パァ」になってしまう。
しかも、もしも試合中に痛みが出てこようものなら、
さらに、それが動きや表情で相手にバレてしまおうものなら、
そこを徹底的に狙われる。
送り出す側の気持ちとしては、90%とかあり得ない。
100%の状態でないと送り出せません。
そして、当日。
軽く汗を流していく姿を見て、周囲の誰もが大丈夫と思ってました。
こちらの出番はないまま、ゆっくり観客席で見せてもらおかな、なんて思っていたが、...
甘かった。
あと数試合で自分の出番というところにきて...
「ちょっと気になる」と言い出した。
ボクサーパンツにガウンを羽織り、
シューズの紐も固く結び、
手にはバンデージ。
あとはグローブはめるだけ。
今さら「痛い」と言われても...
でも、慌ててはいけません。
こっちが焦ると、選手を不安にしてしまいますから。
余裕の表情しつつも、
頭はフル回転。
「どこからどう治療しよ??」
このとき、患部には絶対に触れません。
誰が見ているか分からない。
ましてや治療してるところなんて見られたら、試合でそこを狙われてしまいます。
離れた部位(足)から遠隔治療をしました。
これなら大丈夫。
だって、キックボクシングじゃないもん。
結果は、TKO勝ち。
お見事でした!
ここまでお読みいただいて分かるように、何も特定できるものは明かしていません。
事情はお分かりいただけると思います。
口が堅いのは当たり前。
確実に痛みは取ります。
患部には触れません。
遠隔治療ができます。
まだまだ知られていないようです。
それなりに怪しい風貌なので、
どんな環境にも溶け込めるとよく言われます。
でも、特定の個人・団体との専属の契約は結ばないと思います。
他の多くの一般の患者さまもいらっしゃいますので。
興味を持たれた方は、どうぞ直接お電話ください。
ご利用は、計画的に!
「事件は診察室で起こってるんじゃない! 現場で起こってるんだ!!」
ありがとうございます。