とくに小さなお子さまを小児はり治療に連れてきてくれるお母さん、お父さんへのお願いがあります。
小児はりが「痛くないよ」とは言わないでくださいね。
実際には、小児はり治療では(大人の治療でも)、
痛い鍼をすることはありませんから。
とくに、子どもには、刺すための鍼を使うことすらしません。
小児はり用の鍼は、先っちょが尖ってないので刺そうにも刺せません。
そんな先の丸い鍼で、皮膚をさすっていきます。
それが、小児はり治療の基本です。
小児はり治療においては、いくつかの禁句ワードがあります。
「注射」
「はり」
「痛い」
...など。
これらの言葉を極力使わないように、心がけています。
よく言ってしまうがちなのは、
「『注射』じゃないから」
「『はり』だけど『刺さ』ないんだって」
「『痛く』ないから」
言葉というのは不思議なもので、否定しても印象は残るのです。
例えば、心理学などでは、
「青い空をイメージしてください」
というのがありますが、
ここで、
「快晴なので、雲ひとつありませんよ」
「だから雲のことは考えないでくださいね」
と言われて、
一度も頭の中に「雲」のことが思い浮かばない人はいません。
むしろ、
「考えないで」
と言われれば、言われるほど、余計に考えてしまうものなんです。
だから、
「痛くないよ」
と言われれば、言われるほど、
「痛い」んです。
とくに純粋な子どもたちにとっては。
正直なところ、
これを書いてる僕自身が、以前は気付かなかった。
子どもの立場になって、いろいろと考えてみました。
そして、
数年前に「注射」を連想させてしまうような「白衣」は止めました。
そんな経緯があります。
そして、子どもたち(とくに初診のとき)には、
「○○ちゃんは何が好きや?」
「クルマか? よっしゃ、クルマの絵を背中に描いたろ!」
こんな会話をしながら、子どもたちにアプローチしています。
「クルマやってー、パトカー描いてもらうかー? 良かったなー」
なんて、ノッてくれるお母さんもいて、
本当に助かります。
小児はり治療の目的は、
鍼をして治すことではありません。
小児はり治療の目的は、
子どもに笑顔が戻ることなんです。
そのために体調が治っていくことが段階としてあるに過ぎません。
子どもたちの笑顔のために、
どうか、お願いです。
「気持ちいいこと、してもらいに行こう」
そう言って連れてきてくださると嬉しいです。
ありがとうございます。