古くから伝わる言葉に、
「秋茄子は嫁に食わすな」
というのがあります。
よく知られる意味として、
「秋の茄子は美味いから、嫁に食わせてなるか」
という、嫁いびりの言葉として広まっています。
他にも、
秋に収穫される茄子には種が少ないので、子種ができなくなる、
という子孫を心配するものや、
秋の茄子には水分が多いから、嫁の身体を冷やさないようにと、
まったく逆のいたわる意味もあるようです。
真偽のほどはさておき...。
マクロビオティックの考えの一つに、
「身土不二(しんどふじ)」というのがあります。
身とは身体、
土とは、生活している環境、
これらは不二、つまり別々のものではなく、
きちんと関連性がありますよ、ということです。
茄子でいえば、旬は夏。
真夏の暑いときには、茄子のように水分の多い野菜や果物を摂ることで、
身体を冷やしていく作用があります。
トマトやキュウリなども同じことが言えますね。
これが秋以降の寒い気候になっても、まだ冷やすものを摂っていると、体調を崩す原因となるのです。
秋以降の季節には、根菜類が旬を迎え、出回るようになります。
牛蒡、大根、蓮根、人参などですね。
これら根菜類には、身体を温める作用があると考えられています。
牛蒡などは、気温が氷点下になり、地表では雪が積もっていても、
ほぼ通常の状態を保っています。
なので、私たちの体にとっては、それをいただくことで、寒い冬でも体温維持に役立ってくれるのです。
そして、最近になって話題なのが、牛蒡の持つ抗酸化作用。
活性酸素を抑えて、体の老化を防ぐことが知られるようになって、
アンチ・エイジングでも注目されています。
また、マクロビオティックの考えに「一物全体(いちぶつぜんたい)」というのもあり、
どんなものでも全体としてバランスが整っているので、
そのままの自然な状態でいただきましょうということです。
牛蒡であれば、皮を剥いたり、アク抜きはせずに料理に使います。
そして、先ほどの抗酸化作用は、皮ごとのままでこそ強いということが、
近年の科学の力で解明されてきているのです。
食欲の秋。
なんでもかんでも食べればいいというのではなく、
身体に優しいものをいただきましょう、というのが基本ですね。