お手当てとは「傷の手当て」というように傷口に処置したり、
病気やケガの治療をすることを言います。
純粋に、手を当てるだけのこともあり、
苦しいときに背中をさすってもらって落ち着いた、
というような経験のある人もいるでしょうし、
子どもがケガをしたときにやる、
「痛いの痛いの、飛んでいけー」なんてのも、お手当てです。
お手当てが、心から心配して取った行動であれば、
本当は、そのやり方なんてそれほど重要でないのかも知れません。
かつて、マザー・テレサは、
「物質的な貧しさだけでなく、その精神的な傷口にも、
私たちは手当てをしてあげねばなりません」
と言われたそうです。
やはり大切なのは、気持ちなのですね。
自然療法では、クスリに頼らずに自分でできるお手当てを学びますが、
まずは心地の良い、温かくて柔らかい手でいることが重要です。
そして基本は、
熱を持っていれば、冷やすこと。
冷えていれば、温めること。
どちらかわからないときは、両方やってみて、
心地よいと感じたほうが、正解です。
多くの場合は、温めることになりますね。
鍼療室でも、治療後に早く良くなってもらうために、
ご本人やご家族が自宅でできるお手当てとして、
コンニャク湿布や温熱療法をお伝えすることが多いのですが、
ときどき、数日後に診ても、まったく良くなっていなかったり、
むしろ悪くなっていることもあります。
尋ねてみても「ちゃんと温めた」と言われるのですが、
よくよく聞いてみると、「ちゃんと」は温めてはおられない。
「薬局で買った温湿布を、ずっと貼っててんけど~」
これは、本当に多いです。
めちゃめちゃ多いです。
なので、ここにも書いておきます。
ほとんどの市販の『温湿布』は、温めてはくれません。
商品説明をよく読んでみると、「温感湿布」となっています。
湿布薬の表面に、温かく感じる薬効成分のあるものを塗ってあることで、
温かく感じるようになっているだけ。
実際には、冷やします。
温める必要のあるときは、物理的に温めること。
熱湯で絞ったタオルでも当てておくほうが、
「温感湿布」よりも、はるかに経過はいいです。
これは間違いない。
使い捨てカイロを使う人もいますが、
これも患部を温めるという意味では、弱いですね。
あんまり効果はありません。
少し厳しい言い方をしますが、
温熱療法をやらずに、
市販の湿布薬やカイロを使おうとする人の多くの理由は、
「面倒くさいから」に行き着いてしまいます、残念ながら...。
それは、決して温かい感情とは言えないですね。
だから冷えてしまうのです。
温かい気持ちのお手当ては、お手当てをされる側の人だけでなく
させていただく側の人も、温かくしてくれます。
その温かい気持ちを忘れずにいたいですね。