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手前味噌の正体

手前味噌の正体


日本人の味噌汁離れが指摘されています。

食生活の欧米化に、
行き過ぎた減塩志向も合わさっているのでしょう。


「体に一番良い食べ物はなんですか?」との質問を受け、

「味噌汁は飲んでる?」とお答えすると、

「でも、塩分が心配だから...」と返ってくることが多くなりました。


塩分は悪くありません。

確かに、摂り過ぎると心配なことはあるかも知れませんが、
それは、どんな食べ物でも同じこと。


現代の日本の生活で考えれば、
塩分を摂り過ぎる心配よりも、

運動し汗をかいたりして、出さないことのほうが心配ですね。


もう一つ、大切なことは、

味噌汁はただの塩水ではないということ。


季節の野菜も同時に摂れる味噌汁は、大切な栄養源なのです。


ある調査(※)では、
一日の栄養摂取量のうち、
カルシウム・鉄分の25%、
タンパク質・ビタミンAの15%もが
年間平均すると、一日に一杯から二杯の味噌汁から
摂られていたことがわかっています。


ほかにもビタミンBやカリウム・マグネシウムなどのミネラルも含まれることも考えれば、
これだけの栄養を味噌汁以外のものから補おうとすると、
現実的には難しいのではないでしょうか。


また、味噌は発酵食品ですから、
整腸作用があります。

伝統製法でつくられた味噌を使った味噌汁をいただくことは、
お通じとお肌にも良いのです。


味噌を使った慣用句に「手前味噌」という言葉があります。

「自分の家でつくった味噌ほど美味いものはない」
と自慢しあったことから、
自画自賛の意味で使われますね。


この「手前味噌」とは、
それぞれの地域ごと、家庭ごとの個性として味がちがうことに由来しています。

地域ごととは、気候によって必要な塩分が異なること。

家庭ごととは、それぞれの家庭によって仕事の労働量、
汗をかく量が違っていたので、
補給に必要な塩分の量もそれに合わせて違っていたということです。


それに合わせて仕込む味噌は、
各家庭によって出来上がりにも微妙に塩分の量が違っていたようです。

そんな「手前味噌」だからこそ、
誰にとっても自分の体がもっとも求めていたものといえます。


現代は「減塩、減塩」と、
やたらと塩分の摂取を遠ざける傾向にありますが、


体を動かすこと、
汗をかくことに意識を向けてみることも必要なのですね。


 

※参照:『伝統食の復権』島田彰夫・著 


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