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無駄のないナス


「親の意見と茄子の花は千に一つも無駄はない」。


茄子は花が咲くと必ず実をつけることで知られています。

子を想う親の忠告にも何一つとして無駄なものはないという
たとえ話からきたことわざです。


また初夢に
「一富士、二鷹、三茄子」
とも言われるように
縁起物としても知られています。

これは江戸時代、徳川家康の好物がナスビであり、
将軍に献上できる価値があるものを
有難いと考えられていたことに起因するのだとか。


関西地方では、
大阪・泉州では水分をたっぷりと含んだ水茄子が知られ、
京都では肉厚な賀茂茄子が知られているように、
わずかな気候や土地の差によっても個性のある野菜、
それがナスビ。

ナスビは、奈良時代にはすでに栽培されていて、
もとは「夏の実」であることから
ナツミからナスビへと変わっていったようです。

夏の作物であるナスビは、
体を冷やす働きが大変強い。

暑さの和らぐこれからの季節では焼きナスをおろし生姜で食べたり、
塩や味噌を加えるようにしていくといいでしょう。


「秋茄子は嫁に食わすな」
のことわざ。

気温の下がってくる秋になっても体を冷やすナスを食べさせていては
流産したり子を産めない体になっては大変だという姑の思いやりからきたものです。


古典の薬学書『本草綱目』には
「ナスは性が寒冷で多食すれば必ず腹痛、下痢し、婦人は子宮を傷める」
と記されています。


さて、このナスビの冷やす作用は外用のお手当てにも使えます。
軽いやけどや、捻挫・打ち身などでは、
冷やしたナスビを縦に割り、
直接患部にあてて湿布代わりにすることで炎症による熱を下げ、
患部の腫れを抑えることができます。

また、ナスビのヘタを黒焼きにして粉にしたものは
「デンシ―」と呼ばれ、
歯磨き粉として使うことで歯槽膿漏に著効があります。


まさに捨てるところのない食材です。


ナスビの紫色の果皮の色素であるナスニンは、
コレステロール値を下げ、
動脈硬化を防ぐ効果があることがわかっています。

日光に当たることで紫色が強くなるので、
旬の真夏に穫れたナスビほど濃い紫色になります。


江戸時代の本草学者であり発明家として知られるのは、
平賀源内。

うなぎを夏の土用の丑の日に食べるようにすすめたことで知られていますが、
ナスビにも逸話が残されています。

日照りが少なく紫色のつかない白いナスビばかりが穫れた年に、
売り物にならない白ナスを集めて
味噌漬けにしたものを販売して一儲けしたらしい。

どうやら根っからの商売人のようです。


考えてみれば目のつけどころだけで、
本来はなにひとつとして無駄なものはないのかも知れませんね。



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