日々、鍼療にあたっていて、糖尿病や高血圧など生活習慣病のクスリを長期的に服用しておられる患者さんが多いことに今更ながら驚いています。
クスリを真っ向から否定するつもりはありません。
必要な場合に、必要な期間、必要な量を飲むことに関して、それは有効な治療の手段となることでしょう。
ただ、これらの生活習慣病については、いかがなものでしょう。
生活習慣病とは、文字通り、日常の良くない生活習慣の積み重ねによって引き起こされる病気のことを言います。
原因がはっきりと生活習慣にあると分かっているのですから、そこの改めるべきところを改めることが根本治療になります。
そういう意味では、本来は、糖尿病(生活習慣の影響である2型糖尿病)や高血圧(原因の分からない本態性高血圧)などは、まずは食事をはじめとした生活習慣を見直し、あらためていくべきでしょう。
それでも改善の見られない場合に、並行してクスリを用いることもあるかも知れません。
そういうものでしょう。
もちろん、例えば、高血圧で頭痛や吐き気、ふらふらするなどの明らかな自覚症状のあるものは、クスリがすぐに必要でしょう。
ただし、対症療法的にクスリのチカラで数値をコントロールしても、治ったことにはなりません。
それはクスリが「効いて」いるだけであって、「治って」いることではないのです。
だからといって、いきなり「クスリを止めなさい」と言うつもりはありません。
野菜を多く食べるようにして、肉食を控え、砂糖を避けていったり、洋食から和食にしていくなど、食事の工夫をしていったり、
定期的に運動をするようにしたり、
モノの考え方を前向きに捉えるようにしていくことが根本治療になります。
そして、これらの根本治療に真面目に取り組んでいくことができれば、やがてクスリは必要なくなるものです。
「効く」けれども「治らない」クスリを、安易な気持ちで服用し始めて、年単位の長期にわたって飲み続けることは、自己の持つ自然治癒力を損なうだけでなく、ますますクスリへの依存を強くするだけです。
こうしたクスリの副作用は、すべてのクスリにもれなくついてくるものです。
だから、「クスリ」は逆さまから読むと、「リスク」となるのです。
使い方によっては危険ですらあるということですね。
くどいようですが、クスリを止めようと言っているのではありません。
止めるかどうかの判断は、そのクスリを処方した主治医がすることですから。
決して自己判断で突然止めるようなことはしないでください。
ただ、根本治療に取り組む人が増えてくれればと願うのです。
ちなみに「副作用が少なそうだから」と漢方の処方を受けたり、鍼灸の治療を受けてもらったとしても、
生活習慣病に関しては、ご本人が根本治療に取り組むべきということに変わりはありません。
もちろん、治療の手段によって、
効く度合い、治る度合い、副作用の度合いは異なるのでしょうが。
あくまでも病気や症状というのは「結果」であって、「原因」が変わらない限りは、
遅かれ早かれ同じ「結果」が導き出されます。
一人でも多くの人が、一日も早く、このことに気づいて欲しいと思います。
そして、本当の意味での健康で元気な人が増えていくことを願うばかりです。