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痛みの拒否反応


鍼灸治療院ですから、日々痛みの症状を訴える患者さんが来られます。

治療後には、自宅でできるケアとして温めることを伝えることが多いのですが、
たいてい驚かれますね。

それだけ痛みには冷やすことが必要だと思い込まされてきているのでしょう。


痛みには、温める。


これは基本です。

腰痛だろうが、神経痛だろうが、
五十肩だろうが、膝痛だろうが、
関節リウマチでも、腱鞘炎でも、
捻挫や肉離れでも、
どんな痛みにも共通することです。


もちろん初期・急性期の痛みでは冷やすことは必要ですが、
最初の数日を過ぎればいつまでも冷やすものではありません。

また動かして痛いのにむやみに動かすことは良くありませんが、
かといっていつまでも動かさずにいると余計に悪化してしまいます。

痛みを我慢してまで動かせなどという精神論を言っているのではなく、
急性期を過ぎれば、動かすことはリハビリのみならず、
動くこと自体が治療につながるからです。


迷ったときには、まず温めること。

答えは身体が教えてくれます。

もしもまだ温めるべきではないような炎症が起こっていれば、
もっと痛んで、疼きます。

そのときは、まだ温めるには早かったのかと、
冷やすことに切り替えればいいのです。


一方で、いつまでも冷やして冷やしすぎたとき、
身体は教えてはくれません。

冷やすことは受け入れられます。

なぜならば、
生きていること自体、
すでに36.5℃のプラスマイナスの範囲内で
「熱」を持っているからです。


なんでもかんでも冷やすというのは、
この「体温」という根本の存在を忘れています。


体温という「熱」があるから、
別に炎症を起こしていなくても、冷やすことは受け入れてしまうのです。

余計に痛くなる、疼くというような「拒否反応」は示してくれません。
そのせいで、いつまでも冷やし続けて、
「治らない」と言っていることが多いのです。

 
まず大切なこととして、自分の感覚を信じることです。


どんなに冷やしても痛みがひかない場合に限って、
入浴した後は痛みが楽になっていたりするもの。

これは温める方が回復につながることを、
身体が教えてくれている良い例でしょう。


素直な気持ちで、
自分が「心地いい」と感じることを優先していけばいいのです。
 

それから、温める方法としての基本は、
「物理的刺激」であること。

これまでにもときどき「温めてね」と言うと、
その帰りに薬局によって「温シップ」を購入する人がいたのですが、

あれは、本当の「温シップ」ではなく、
「温感湿布」。

ショウガやらトウガラシやらのエキスの成分で、
温かく感じるようにつくられているもの。

つまり「感覚的刺激」になるのです。

ですから、温かく感じるだけで、
正味は冷やしますから注意してくださいね。


物理的に温めることは、もっと単純。

熱いお湯でタオルを絞って、患部に当てていく。

これだけで十分です。


もう少し長い時間温める必要があるときには、
コンニャク湿布ですね。

コンニャクを塩茹でしたものをタオルで包んで患部に当てる。
しばらく温かさが続くので重宝しますよ。


感覚を大切にする。

自分の治る力を信じる。

難しく考えすぎないようにしたいものですね。



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