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2016年6月アーカイブ



これから雨の多い梅雨の時季に入ります。

「梅雨(ばいう)」と書いて梅雨ですが、
もとは「黴雨(ばいう)」から来たと考えられています。

黴菌(バイキン)といわれる雑菌が湿気によって繁殖し、
食中毒や感染症などの病気が発生しやすい時期には、
その雨が育ててくれる青梅を重宝していたのだとか。

自然の力を借りて乗り切ろうとする先人の考えが伝わりますね。



昔から、おにぎりに梅干を入れたり、
日の丸弁当にしたりするとその日はご飯が腐りにくくなって
食中毒から守ってくれることは知られています。


また、梅干しの独特の酸味はクエン酸の成分によるもの、
唾液の分泌を促して、消化を助けるので、
とくに食欲の低下する夏場の疲労回復を助けてくれます。


梅干の歴史を辿ってみると、
平安時代にはすでに梅干と昆布茶によって病気を治していたという記述が残っています。

また、戦国時代には食中毒・伝染病の予防になくてはならないものとして
戦略物資の一つに数えられていたともいわれています。

近代に入ってからでも、
戦時中では前線の兵士にとっては長期保存のきく梅干は携行食であったようです。


近年、行き過ぎた減塩指導のために、
伝統製法での梅干がなくなりつつあります。

本来、梅干の塩分濃度は18-20%必要で、
16%を切ると、カビが発生することもあります。

こうなると、食中毒予防の役に立つどころではありませんね。


ですから、減塩梅干しや、
なんらかの味付けされた調味梅干ではこれらの効能は期待できません。

さらに、化学調味料や合成保存料などの添加物が含まれることの認識も必要です。

塩分と引き換えに失うものが、あまりにも多すぎますので、
きちんと伝統製法でつくられたものを購入するか、
ご自宅で漬けられるに越したことはないでしょう。


梅干は、土蔵のような保管に適した環境であれば
100年前につくられたものでも食べられるともいわれます。


それほど、梅干自体は劣化や腐敗をしない食べ物なのです。


梅干はその日の難逃れ。


その日だけでなく、
あらゆる困難を逃れるためにも、
梅干は身近な存在としておきたいものです。


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