あっつー
朝もまだ8時前やというのに、
地面からの照り返しがまぶしい。
地面からの照り返しがまぶしい。
ふぅーーー
「なんや?」
うわっ、ビックリした~
喋る犬、伝次郎。
毎度のことながら突然現れはりますな。
「どないしたんや?」
え?
「朝から溜め息ついてるさかい」
あぁ、あのね、こないだから多いんですよ。
夏風邪を訴えてる人が。
季節外れもええとこやなぁ、と思いまして。
「季節外れ? なんでや??」
いや、風邪って、冬のもんですやん。
冷たい風に当たって邪が入るから、風邪いうのに。
「自分、なかなかよう知ってんな」
これくらい、誰でも知ってるでしょ。
「ほんで、なんで季節外れなんや??」
エアコンですかね。
「エア、コ、こん、ディ、ひっ、ふぃっくショんなー」
無理からやな・・・。
で、クシャミなんかして、風邪ひきはりましたんか?
「さっきまで、そこで風に当たってたんや」
どこで?
「そこに、老健施設できてるやん。」
老犬だけに?
「ローケン、言うな!」
自分が言いましたやん。
「そこのエアコンの室外機の風な、気持ちええねん」
それって、もろ、風邪ですやん。
「たいしたことない。すぐに治るわい」
そうですか?
「当たり前やないか。ちょっと走って汗かいたらええ」
そうですよね~。
動いて、汗かいたほうが、早いこと治りますよね~。
「なにを、当たり前なこと言うてんねん」
いやぁ、夏風邪は長いからなー、とか、
言う人、結構いてはりますねん。
「なんでか、わかるか?」
なんで長いことかかるか、ですか?
そりゃ、しんどいー、言うて、
エアコンの効いた寒い部屋で寝てるからですかね。
エアコンの効いた寒い部屋で寝てるからですかね。
「相変わらず冴えてんな、自分」
そう考えると、納得いきますやん。
「そや、根本は、単純な足し算と引き算みたいなもんや。
小学生でもわかる。」
ですよね~。
「ほな、なんでや? なんで、治らん?」
思い込み、ですかね・・・。
「思い込み??」
うん、病人やから、安静にしとかんと、みたいな。
「ますます冴えてるやないか。
その通りとちがうか」
そうですよね。
ちょっとくらい動いて、汗かいたほうがええんですよね。
「そや! ほな、ワシもそうするわ~」
そう言って、走り去っていった。
心なしか、走っていく後ろ姿が、軽快な気がする。
接地時間が短いような・・・。
いや、気のせいだな。
きっと地面が暑くて、足裏が熱いからだろう。