最近でこそあまり聞かなくなりましたが、以前よく耳にしていた
「1日30品目食べましょう」というメッセージ。
1985年に、当時の厚生省が「食生活指針」として発表したものでした。
「30品目食べなければならない」と、毎日食材を数えていた人も多かったと思います。
極端な例え話ですが、
寝る前にベッドで、
その日に食べた食材を朝食から順番に思い出しながら数えてみたところ、
28しかない...。
もう一度よく考えてみるけれど、やはり2品目足りない...。
なんだか、とても不安になってきて、寝付けない...。
仕方なく、キッチンに行き、
食パンにバターを塗って、
スライスチーズと、ハムを乗っけて、食べた。
その数、4品目。
都合32品目食べたことになる。
で、安心して眠りにつけた。
もしかすると、似たような経験をお持ちの方もいるかも知れません。
2つ不足していると、どうしようもなく不安になる。
2つ過剰な分には、安心していられる。
どうも、健康マニアの人には「不足」に対する心配が多いようです。
けれど、先ほどの例え話のような生活を送っていて、果たして健康になれるでしょうか。
答えは、No!!
きっと、生活習慣病まっしぐら。
高脂血症や糖尿病、高血圧、動脈硬化などの原因となることでしょう。
当時の厚生省の思惑は「バランスよく食べましょう」と言いたかったのでしょうが、
結果としては、単なる「過食」の原因をつくったに過ぎませんでした。
言い換えれば、病気を扇動したようなものです。
その一方で、生活習慣病の診断基準は、
高血圧は、160/95mmHg以上から140/90mmHg以上に、
糖尿病は、140mg/dl以上から126mg/dl以上に
引き下げられました。
おかげで、一気に数百万人単位の人たちが、
晴れて「高血圧」「糖尿病」という診断名をもらえて病人となりました。
合わせると、実に人口の10%以上もの病人が日本に増えたことになります。
国民の健康を守るために存在するはずの厚生労働省が、病人を増やしているのです。
別に、行政を責めるつもりはありません。
ただ、世の中の情報というのはそんなものだということです。
そもそも、なぜ「不足」に対して不安になるのか?
そして、「過剰」「過食」に対しては平気なのか?
「不足」を脅す情報が多いからに他なりません。
メディアに流れる情報は、「不足」の不安を煽るものばかりです。
そんな情報に流されない「判断力」を養ってほしいのです。
ときどき、「週末断食にチャレンジしてみようと思うのですが」というような内容の相談を受けることがあるのですが、
たいていは決まって、「慣れないうちは、断食道場などできちんと指導を受けながらやるほうがいいよ」と答えています。
それは、
「断食のやり方(とくに復食)が難しいから」
「仲間がいるほうが頑張れるから」
という理由もあるのですが、
それ以上に、
「空腹時に、不足を煽るような情報には触れて欲しくないから」なのです。
人間の食欲というのは、想像している以上に強いものです。
その食を断っているときに、不足を煽られて不安にならないほどの精神力を持っている人は限られています。
だから、食を断つ以前に、
情報を断てる環境に、身を置いてほしいと思います。
まずは、情報の断食を!
テレビをつけない。
新聞・雑誌を見ない。
情報に惑わされない自己を確立することを目標にしてみてください。