先日、「61分で元気になる話」というテーマで講演をさせていただきました。
そのなかでもお話したことですが、
「61分」の「1分」って、気になりますか?
では、仮に「59分で...」というテーマだったとしたら、
その「1分」の差に、果たしてそこまで気になるでしょうか?
実は、ここに大きな心理が隠されているのですね。
論点をわかりやすくするために、
別の角度から、例え話でご説明します。
かつて、厚生省(厚生労働省)がしつこいくらいに繰り返していた、
「1日に30品目食べましょう」というキャンペーン。
一生懸命に「30品目」に取り組んだという経験のある人もいるかも知れませんね。
その、一生懸命に取り組んでいた、ある人の話です。
毎日、きちんと品目数を数えながら食事をしていました。
ある日の夜、休もうとベッドに入ってから、その日の品目数を数えていきました。
... 28品目。
もう一度、数えなおしてみても、やはり、28品目。
やがて、不安になってきます。
2品目の不足によって、いつか体調を崩すのではないか?
そうなると、休んでなんかいられません。
仕方なく起きだして、キッチンへと行きます。
そして、食パンにバターを塗って、
スライスチーズとハムを乗っけて食べました。
その数、4品目になります。
プラス・マイナスで2品目の差。
つまり、28では不安で仕方なかったのが、
32になると安心できる。
それくらい「不足」ということに対しては恐怖心を植えつけられてしまっているのです。
まずは、そこから自分自身を解放することが、健康づくりの第一歩になります。
何も、不足なんてものはありません。
ちゃんと自然治癒力というものが備わっています。
「不足」と言いつづけることは、
自分自身の自然治癒力や免疫力に対して、失礼な態度ともいえますね。
ちなみに、先ほどのようなケースでは、その後どうなったでしょう?
食べ過ぎた結果、糖尿病に近づいていくのです。
事実として、厚生省が「30品目キャンペーン」をやってから、
日本における糖尿病人口は約2倍に増えました。
そして、厚生労働省は「30品目キャンペーン」を言わなくなったのです。
健康を追い求めて、真面目に取り組んだ人ほど、不健康になったのです。
これが事実です。
そうやって、他人さんのつくった数値基準に自分を合わせていっても、
損をするのは自分。
痛い目に遭うのも、自分。
しんどい目に遭うのも、自分。
ならば、もっと自分の感覚を優先させても良いのではないでしょうか。
「いいかげん」は、「良い加減」。
そないにきっちりせんかっても、ええんやないですか?
「...しなければいけない」と思い込まされていた自分と向き合うための、
「1分」ですね。