自然であるということは、とても大切です。
私たちには「自然治癒力」という自然の力が備わっていて、常に身体を守ろうと働いてくれています。
東洋医学は、この自然治癒力を最大限に発揮させるために身体に働きかけるのです。
例えば、初期の風邪症状で来院された場合は治療後に、
「今晩から熱が上がるかも知れないから、外出は控えてね」と伝えて終わることもあります。
熱を出すことは自然な現象であって、体にとってはその必要があることだから。
寒いところに行けば、体は震えることで運動し熱を産み出そうとします。
菌やウィルスなど体にとって有害なものが入れば、出そうとする力が働きます。
その結果、下痢をしたり、嘔吐したりという症状が出てくるのです。
このように現れてくる症状には、体を調整しようとする働きがある場合も多いのです。
そこで症状を止めてしまうことは不自然なのです。
以前こんなことがありました。
ずっとクスリを使ってきたけど良くならない。
ならば東洋医学の出番かもということで来院されました。
何回か継続して治療をしてきましたが、なかなか改善が見られません。
あるとき、とても忙しくて病院にクスリをもらいに行けなくてクスリが切れてしまったそうです。
でもその週の土曜日に鍼灸を受けには来られました。
すると、なんと週明けにはまったく症状がなくなったのです。
それから数回は鍼灸だけ続け、症状が出てこないことを確認し、「卒業」していかれました。
以後も症状は出ていないそうです。
もしかすると、鍼灸治療で身体に自然になるように働きかけていたことと、
クスリで抑え込もうとして不自然に働きかけていたこととが、
お互いに打ち消しあっていたのかも知れません。
本当のことはわかりません。
だけど、同様の患者さんはこれまでに何人もいらっしゃいます。
アトピーとステロイドでもあったし、
(ちょっと辛かったかもですが...)
頭痛と鎮痛剤ロ○○ニンでもあったし、
(それって飲んでも痛みは止まってなかったってこと?)
便秘と便秘薬でもあったし、
(こんなところでも反作用ってあるのかと驚きでした)
腰痛と湿布薬でもあったし、
(だから「温めて」って言ったのに...)
これらはすべて事実です。
自然は間違えることはありません。
植物は季節に合わせて成長します。
秋になったら葉をたたみ、
春になれば芽を出して、
夏には花を咲かせます。
私たちの身体の自然治癒力も間違えません。
出てきた症状を解釈する、私たちの判断が間違えるのかも知れません。