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治すのではなく、治る


「先の予定を考えて、いま風邪をひいてしまうと困るから」
と、市販の風邪薬を予防のために飲んでいるという方がおられました。

毎年のように年末になると風邪をひき、長引くのだそうです。


クスリは特定の症状を一定期間だけ抑えることはできるかもしれないけれど、
本当の意味で治すことにはならないし、
ましてや予防など不可能。

それで、風邪をひいたときには素直にあきらめて休むことが一番。

そもそもクスリに頼って予防しようなどと考えている時点で、
風邪を迎えにいくようなもので、
受身の姿勢になっているのかもしれないですよ。

そんな話をさせていただきました。


インフルエンザの予防接種なんかも同じですね。
意識してるというのは、そっち向いてますから。
身体も、心も。


さて季節柄、風邪の症状で来院される患者さんが増えてきます。

事前に「一度は熱が上がるかも知れないよ」と、
お断りをし、納得された場合のみ治療をさせていただいています。

すでに熱があるのであれば、
電話をもらった段階で「そのまま外出を控えて寝ておくように」
とだけ伝えて無駄な治療はせず終わることもあります。

発熱が、キーですね。


発熱とは【体が自らを治そうとして起きる反応】です。

東洋医学の考えでは風邪を【治す】治療をするというより、
体の反応が起きやすく促していくことで、
発熱していく経過を経て【治る】と考えるのです。


医聖・ヒポクラテスの言葉に、
「患者に発熱するチャンスを与えよ。そうすれば、どんな病気でも治してみせる」
とあります。

古代ギリシャの時代より
「病気を治すためには発熱する」のが自然の治癒力と考えられてきました。


風邪をひかないことを目指すより、
むしろ年に一度くらいは風邪をひくくらいでいいのかもしれません。

ただし、一日もしくは半日くらいの短時間で「経過」していくことが大切で、
そのためにはきちんと発熱すること。

多くの場合、クスリを飲んでも、長引くだけ。
それは、熱を出し切れないから。

安易に熱を下げてしまうのは「もったいない」ともいえるのです。

クスリ飲んで治ってる人なんて、見ないもの。
当たり前か...。

クスリ飲んでも治らない人としかご縁がないわけだから。



「バカは風邪ひかない」と言われますが、
本当のところはあれこれ考えて余計なことをしないからではないかと思われます。

寒いと感じれば、見た目を気にせず温かい格好をする。

しんどいと思えば、休む。

食欲がなければ、食べない。

熱があれば、寝る。

体の声を聞いていれば当たり前のこと。
なにも深く考える必要はありません。


そこでクスリで症状を抑えようとしたり、
変に無理をするから治らずに長引いてしまうのでしょう。


「治す」のではなく「治る」。


風邪に限らず何においても、
もう少し自然治癒の力を信じていたいものです。


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