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大根は役者


いまいちパッとしない役者さんは、
「大根役者」と呼ばれます。

大根は食あたりしないということと、
役者さんではヒット作のようなあたり芸がないこと、
大根も役者もあたることがないというのをかけた言葉。


消化を助けてくれる大根のおかげで、
下痢をするなど食中毒にかかりにくくしてくれる、
大根は食あたりを助けてくれる、食卓の味方ですね。


そんな大根、
実に皮や葉にも栄養が豊富。

まさに、捨てるところのない野菜です。

体に良いだけでなく、
ゴミを出さないことからエコでもあり、
まさに立派な役者なのです。


大根の栄養ではビタミンCが豊富なことで知られます。

実はこの大根のビタミンC、
中心部よりも表面の皮に近いほど多く分布するそうです。

なので、なるべくなら皮はむかずに、
きれいに洗って皮ごと食べるのがおススメ。


私は治療のなかで、
大根を使ったお手当ての話をすることがあります。


まずは輪切りにした大根。

アトピー性皮膚炎などの皮膚に痒みのあるとき、
これで拭いてもらうことで、
痒みが治まることがあるのです。

できればステロイド剤などクスリを避けたい患者さんにとっては、
口に入れるものを使ってのお手当ては安心できるもの。

極端な話をすれば、
「効いたら儲けもん」くらいの気持ちで、
安心して遠慮なく使えます。

その結果、効果の出る人が多いのは事実。


あとは、打ち身や、扁桃腺炎の腫れに、
薄く輪切りにしたものを貼り付けることで鎮まることがあったりもします。

これらは大根の辛味成分、
アリル化合物による収斂作用ではないかと考えられます。

辛味成分を用いるという意味では、
大根おろしでもかまいません。

炎症に対して、大根のおろし汁を塗ってもいいでしょう。

鼻出血や粘膜の荒れには、
おろし汁を脱脂綿に含ませて塗るという方法もあります。

ただしこの方法では、
痒みが一時的に強くなることがあるので注意が必要です。


「大根食ったら菜っ葉干せ」とも言われるのですが、
大根の葉っぱも外用のお手当てには立派な役者。

干して乾燥させた葉をお風呂に入れることで温まります。

大根の葉を干すことで、
温泉成分にみられる塩化物や硫化イオンなどの無機成分が多くなり、
保温効果を高める働きがあるようです。

冷え性や腰痛、婦人科疾患などの人には下半身浴がいいですね。

とくに婦人科疾患には
大根の干葉は効能があると古くから言われています。

だいたい2株分ほどの大根の葉を、
5~10日ほど、葉が茶色くなるまで陰干しにします。
これを布袋などに入れ、お鍋で煎じていきます。

この茶色くなった煮汁を、
タライ(ベビーバス)にお湯をはって加えたところで
腰湯をするのです。

骨盤内の生殖器官を温めることが目的ですから、
足は入れずに腰だけ浸かり、
冷えないようにときどき足し湯をしつつ
温度が逃げないように大きなビニールの風呂敷などを被っておくといいでしょう。



「患者に発熱するチャンスを与えよ。
そうすれば、どんな病気でも治してみせるぞ」

これは古代ギリシャの医師・ヒポクラテスの言葉。

難病であっても、多くは温かくすることが基本です。

身の回りの物を上手に活かして温かくいきたいものです。


立派な役者としての、大根。

内から、外から、いい味出しますよ。


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