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レンコンと、先を見通すチカラ


「喉がイガイガして咳が出てきたので、
 レンコン湯を飲んだら効きましたね。」

と、患者さんからご連絡をいただきました。


病院でもらったクスリで症状だけを抑えることに不信感をもって、
初期の風邪くらいなら自分でなんとかしようという患者さんが増えてきたように思います。


「薬」と書いて薬草に頼っていた時代からすると、
現代では「クスリ」と書く化学合成薬が増えてきました。

もちろんそれによるプラス面は大きいのでしょうが、
一方でクスリは逆さまに読むと「リスク」となるように
マイナス面もついてくるものです。


本物の治療とは、
それを受ける患者さんの側にとっては、
肉体的・精神的にはもちろんのこと、
時間的・経済的など
様々な点で不利益をもたらすものであってはいけません。

そのことに多くの人たちが気づき始めたということができるでしょう。


食養生では、
喉・器官の症状には「レンコン湯」を活用します。

皮ごとすりおろした蓮根の搾り汁に、
くず粉と塩を少々加え混ぜ合わせてから熱いお湯を注ぎます。

生姜のおろし汁を加えると体が温まります。

家庭においては蓮根粉末を常備しておくのもよいでしょう。


蓮根は、おせち料理でも

「先の見通しがきく」

との意味から用いられるように、
穴が通っていることが特徴。


喉や器官のつまりを緩和して
「気」を通すと信じられてきました。


また、仏教においては、
極楽の池に生育する、
けがれのない植物とされているのが蓮根です。


現代の栄養学的に言えば、
蓮根に含まれているタンニンが炎症を鎮めて、
細胞を引き締めてくれるようです。


また、蓮根に豊富に含まれるビタミンCは
熱しても壊れにくいことがわかっています。

さほど昔から栄養分析などできていたわけではない時代からの教えであることを考えると、
経験値の積み重ねである伝統療法の偉大さを認めずにはおれません。

長年のうちに自然淘汰されていくものがあることから、
遺されてきたものには歴史の裏付けがあるとも言えます。


半世紀ほど遡りますが、
千葉の古代遺跡から発掘された蓮の実が発芽して話題になったことがあります。

後の年代測定で2,000年以上前の弥生時代後期のものと推定されました。

このように、非常に生命力が強いことでも知られているのです。

蓮根に倣い、先を見通す力と生命力を養いたいものですね。

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